岩佐えり子 写真 〜 ザルツブルク音楽祭を聴いて 〜
       岩佐 えり子

今や色々な国、地方でそれぞれの特徴を持った音楽祭はシーズンオフであるはずの夏にも数多く開催されていますね。
海外の教授に師事したいと思えば、日本の中でも受講できますし、何かのコンサートを聴きたいと思えば、たくさんの選択肢から選ぶことができます。
その中で私はこの夏、その昔モーツァルテウムで学んだ事を懐かしく思い出しながら、モーツァルトの生地、オーストリアのザルツブルクにコンサートを聴きに出かけてきました。
7月末から約1か月あまりの間、毎日の様に世界のトッププレイヤー達が演奏を繰り広げています。
本来ならば夏はシーズンオフで次のシーズンの為に休んで英気を養う期間でしたが、教授陣ははるばる海外まで出向いて夏季講習をしたり、オーケストラも現代物を入れたプログラムで意欲的な演奏を披露しなければならないこの時代は、ある意味演奏者には大変な季節と化したようです。
聴くほうには本当に選択肢が増えて嬉しいばかりですが。
私が滞在したのは1週間にも満たない短い期間でしたが、毎日コンサートを味わい、近郊の遠足もしっかりと楽しみ、とても充実した一時でした。
まず行ってからチケットオフィスで取った室内楽コンサートはブレンデルの息子さんがチェリストとして登場したピアノトリオ。客席には一生懸命に聴いているパパ(アルフレッド・ブレンデル氏)がいて、また隣の席の知らないおば様が話しかけてこられたりしながら、コンサートを楽しみました。
ホールはモーツァルテウムの雰囲気のある素敵なホール、帰りはそぞろ歩きながら音楽の余韻に浸りました。
翌日のマチネーはウィーンフィル。若きウェルザー・メスト氏の刀を振り下ろすような気迫のある指揮ぶりに潔さを感じながら、しかし出て来る音は深みのあるウィーナーサウンドに流石〜と唸りました。
ゆったりと昼食を頂き、ホテルに一旦帰って小休憩。夜はシカゴフィルです。
リッカルド・ムーティ氏の指揮、金管群の演奏に「かっこいい〜!」とそのグルーブ感に酔いしれ、またもや隣の席のおじ様に「この席を買ってくれて有難う!」と御礼を言われ、(買っていたけれど行けなくなってキャンセルされたチケットが、チケット販売所でまた再販されているのです)、場内の人々の盛り上がりも加わって満足感も更に増します。
翌日は,前日の雨に急に下がった気温(一日で一気に20度下がりました!)が嘘のようにとても良い天気となり、近郊のザルツカンマーグートの湖や美しい景色をゆっくりと堪能して、夜はベルリンフィル。
プログラムはマーラーの7番。正直、休憩無しで最後までちゃんと聴き通せるのか自分でも半信半疑でした。(私はマーラーフリークでもないので。)
それがどうしてどうして、流石のサイモン・ラトル氏!この超大作そして難解と言える曲を全く飽きさせずに物凄い表現力で演奏しきって下さいました!
もう圧巻!としか言いようがありませんでした。
世界に名を成す方達の底力を見せつけられて帰路に着きました。

秋にはまた色々なオーケストラが来日演奏をして下さる予定ですね。
日本でバカンスとならない様に、またこの様な素晴らしい演奏を繰り広げて頂きたいものだと思うと同時に、進化するクラシック界に心浮き浮きとしています。